
前輪駆動車界のトップガン
世界を代表するFFスポーツカーといっていい一台。広い意味でいえばプラットフォームはゴルフ級FF実用車と共通だが、ハードウェアの専用度はきわめて高い。特に、走りのかなめともいえるリアサス。スペース効率をあっさり代償にして躍動的能力を探求したタイプのそれは、とうてい実用車に役立つ物ではない。
ジャパニーズスペックのエンジンは、今現在でアルファに求めうるうちのベストキャパシティ版である3.0のV6。220ps 。最高速力250km/h 。その他すべてのパワートレインを共有するGTV/スパイダーの仲間において、唯一スパイダーに準備されないのがこれだ。また、このエンジンのスペックにおいてのみトレッドは前より後ろが幅広となる。つまり、完遂して高テンションの走りにチューニングの焦点を合わせこんできているという事だ。

「痛快」のレベルで満足するなら2.0 の直4(登場初期に並行で入っていた) で十分。ここまでくると、まさに豪快の一語。コーナーだろうと直線だろうと大型ナイフでズバッと切り裂くように走る。車体とエンジンの関係でいうとエンジンが勝っており、それゆえのムリヤリ感やアラさみたいなものが若干なくもないが、まあコマカい話だろう。ポルシェ911のほぼ半額で得られる世界だと考えても、得点はきわめて高い。
低速域をかなりあっさりと見切ったチューニングのエンジン性質。しかし6段MTの絶妙なギア比セッティングでネガ露呈せず。サウンドといい振動といいトルクといい、美味しいところだけを使って走ることができる。やはり、わかっているとしかいいようがない。素晴らしい。ゆっくりでも、あるいはトバしても、それは情熱の世界。BMW M5の三分の一弱の価格で手に入る事を考えても、素晴らしすぎる。
数少ない難点は、側面衝突対策が入ってフロアの形状が変わったため着座位置が当初より高くなってしまったことか。運転姿勢のバランスが少々苦しい。特に、座高の豊かな人は事前に要チェック。ただし、しばらく座っているうちにクッションが沈むので高さの違和感はいくぶん改善される。それでオッケーになるかもしれないのでやはり要注意。最悪、それでなおダメでもスライド機構を殺してローポジションに改造するとかやりようはある。そうまでして乗る価値のあるクルマである。

ALFAROMEO GTV
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